遺留分侵害額請求の合意時の相続税申告の期限

今回は相続のお話です。

先日、相続税申告のご相談で、
遺留分侵害額の請求に係る合意がまとまったときの相続税の申告期限がいつになるのか、
というご質問をいただきました。

以下の事例のような場合の相続税の申告期限がいつになるのでしょうか。

(事例)
被相続人である甲が生前に遺言書を作成していました。
その内容は、甲の遺産を相続人Aに全て相続させる、というものでした。
甲にはもう一人相続人Bがおり、遺留分の侵害を受けたことからBがAに対して遺留分侵害額請求を起こしました。
両者の合意は相続の開始があったことを知った日の翌日から10ケ月以内にできませんでした。

(回答)
この場合、AおよびBの相続税の申告期限及び手続は以下のようになると考えられます。
(Aの場合)
遺留分侵害額請求を受けていますが合意ができていないため、
遺言書の内容のとおりAが全て相続したものとして、一旦10ケ月以内に相続税の申告書を提出し、納付を済ませます。
その後、遺留分侵害額の請求に対する合意により支払うべき金銭の額が確定したときに、
Aは財産が減ることになりますので、
その事由が生じたことを知った日の翌日から4ケ月以内に限り、
税金の還付手続きである「更正の請求」をすることができます(相法32①)。

(Bの場合)
Bは遺言書の内容では一切財産を相続できなかったため、相続税の期限内申告書を提出することができません。
よって、遺留分侵害額請求に係る合意により受け取るべき金銭の額が確定したときに、
Bは新たに財産を取得することになりますので、期限後申告書を提出することができます(相法30①)。

この場合の期限後申告書の提出期限は特に定められていませんが、
Aが税金の還付手続きをした場合に、Bが何も手続きをしなかったときは、税務署からBに相続税の納税を督促してくることから、
Bは相続税の更正の請求期限である4カ月以内に合わせて期限後申告の提出及び納税手続きをした方がよいでしょう。

さて、ここで注目していただきたいのが更正の請求も期限後申告もどちらも「できる」規定となっている点です。
これは、どういうことかというと、合意後でもAが更正の請求をしなければ、Bは申告をしなくてもよい、ということを意味しています。
では、Aが納め過ぎた相続税はどうするのか?という疑問が生じますが、BがAにその分を金銭で支払えば良いということになります。
課税庁としては入ってくる税金に変わりないため、関知しませんよ、ということなのですね。


税理士法人はやぶさ 税理士 杉浦 文彦
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