経費になる前払いとならない前払い

平成最後の年に入ってから早くも1ヶ月が経過しました。巷ではインフルエンザが流行し、学校閉鎖になったニュースなども見られます。皆様におかれましてもくれぐれも体調には十分にお気を付けください。

今回は確定申告時期ということで、個人事業が決算を締める際の見越し繰延べ、中でも(短期)前払費用ついてお話をしたいと思います。
年間家賃を前払いで支払えば税額が抑えられる、というお話はよく聞きますが、実はここに落とし穴があるので注意が必要です。

そもそもなぜ未来の経費の計上が認められるかと言いますと、これは会計の「重要性の原則」の考え方に基づいており、税法においてもこの考え方は引き継がれています。

所得税法基本通達37-30の2(短期の前払費用)
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下この項において同じ。)の額はその年分の必要経費に算入されないのであるが、
その者が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する年分の必要経費に算入しているときは、これを認める。


12月に支払った年払い家賃は向こう1年に渡って継続して均等に受けるサービスの対価なので、支払ったときに1年間分をまとめて当期の費用にしても良い、となるのです。
短期前払費用を当期の費用として計上する際のポイントは次の3点になります。
1年以内に継続的に受けるサービスに対する対価である事
債務が確定している事(原因事実・金額などが確定している事)
毎期継続して支払う


例えば次のような処理は税法上認められません。
・12月に5年分の保険料を前払いし、1年分の費用を経費として計上する。
   →1年を超えたサービスに対する支出は月割按分する必要があります。

・税理士の顧問料を年払いし、経費として計上する。
   →債務が確定していないため、前払金・手付金という扱いになります。

・月払い契約の家賃を勝手に12ヶ月分振り込んで経費として計上する。
   →契約で定められている場合、契約に基づいて判断されます。
    年払いする際は、家主さんと相談し、書面を交わした上で支払いましょう。

・11月に翌1月から翌12月の家賃を前払いした。
   →11月から翌12月まで1年を超えるサービスになるため認められません(翌10月分までを支払った場合は1年以内として認められます)。

また、一度決めた会計処理の手続きは翌年以降も継続して適用する必要があるため、当期の業績次第で決算時に年払いをしたり月払いにしたりという処理は認められません。


12ヶ月分前倒しで経費を計上したのに1ヶ月分しか認められなかった、となっては税額が大きく変わることも考えられます。
短期前払費用は便利な考え方でありますが、一方で落とし穴もありますので、計上する際は慎重に行う必要があります。

【担当:立里】
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