『 兆 』

『 兆 』

火の手が上がるとき、煙が出る前に透明の炎がうっすらと見える。火の手が上がる兆しである。何かが起こるときそれを予感させる現象が見られる。それは後から気づくこともある。米国FRBは数次に渡るフォワードガイダンスの後、2015年12月17日9年半ぶりの利上げを決定した。暫くはさしたる動きもなかったが、楽観視していた証券会社や経済誌の予想に反し、年初来のマーケットは大荒れで連日株価下落の様相を呈している。「申(さる)年は騒がしい」相場格言どおりの展開となった。

平成元年の大納会で日経平均38,915円の大天井を打ってからバブルの崩壊が始まり25年が経過した。18世紀、英国の南海バブルの崩壊時もその終焉を見るまで25年を要したという。平成2年から長い長いデフレのトンネルを下ってきたが、そろそろ潮目の変わり目かと思われる。異常なまでの低金利も永久に続くわけではない。平成15年に事業再生の動きが活発化し不調企業の支援を政策的に継続してきたが、この方針を続けても経済はいつまでも活性化されないではないかという意見も出ているようである。
経営者が経営にあたって覚悟しておくべき自然金利というものがある。概ね4~5%程度と言われているが、これを確保するためには営業利益率は10~15%を確保する必要がある。退場すべき段階まできた不調企業を保護してきたために採算を無視して法外なダンピングを行う者が出てきて健全な成長を目指す企業を妨害している。国もこの矛盾に気付きはじめたようである。

平成28年度与党税制改正大綱にもその変化の兆しが見られる。「経済の『好循環』を確実なものにするため、税制においても、企業が収益力を高め、前向きな国内投資や賃金引上げにより積極的に取り組んでいくよう促していく必要がある」と強調した。28年度の大綱は成長重視の姿勢をはっきりと打ち出している。国・地方を通じた法人実効税率(現在32・11%)を1年前倒しで平成28年度に29・97%に引き下げる、さらに30年度には29・74%とする方針も打ち出した。一方でこの税源は課税ベースの拡大で法人税の体系の中で生み出す仕組みとなっている。
法人税改革の項においては、更に明確に「……法人税改革を、更に大胆に推進する。法人課税をより広く負担を分かち合う構造へと改革し、「稼ぐ力」のある企業等の税負担を軽減することにより、企業に対して、収益力拡大に向けた前向きな投資や、継続的・積極的な賃上げが可能な体質への転換を促す。」とあり、税源としては既に27年度から実施されている欠損金の繰繰越控除の段階的見直し、受取配当等益金不算入の見直し、法人税事業税の外形標準課税の段階的拡大等に加えて平成28年度税制改正においても、生産性向上設備投資促進税制については、平成28年度末で期限の来るものについてはその期限をもって廃止とする。また、減価償却については建物附属設備や、構築物について償却方法が定額法に一本化される。いずれも課税強化である。これまで黒字で納税をしてきた企業にとっては税率の引き下げで減税になるが、一方で税源確保で増税になる企業も出てくる。国の方針が「稼ぐ力」のある企業を支援する方向に明らかに変わっているわけである。

 バブルが崩壊し、土地神話が崩れたとき、いち早く前提条件の変化に気付き、B/Sの贅肉を削ぎキャッシュフロー重視の経営に切り変えてきた企業は好業績を堅持しているが、土地に対する思い入れが強く不良資産を多く抱えた企業は、固定資産税というマイナスの金利と値下がりリスクを内在したまま、昨日までと同じように真面目にやっているのに少しも楽にならないと嘆いている。時間軸を長く取ってみると、いつの間にか気がつけばそうなっていたという現象だがその差は大きい。

2016.1.25  Hayabusa
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