事業承継ガイドライン

 2週続けての台風到来。身近での被害はありませんでしたでしょうか。

弊社事務所の最寄では街路樹が幹から折れ曲がって道路に横たわっているものが何本かありました。

ものすごい風雨でしたが、子供は暴風雨になるとテンションが上がるのはなぜでしょうか?

それとも我が家だけでしょうか。。。

と、あまり「掴み」にもならない枕はこれぐらいにし、本題です。

 今回は中小企業庁が出している「事業承継20問20答」という冊子をご紹介したいと思います。

事業承継ガイドライン表紙

事業承継ガイドライン(リンク先へ)


 この冊子の良いところは、経営者の方がご自身で自社の株価を計算できる点です。

簡易なものとなっていますが、現状の自社の価値を知る目安となりますので、ぜひ活用してみてください!


 ところで、ここ数年の傾向ですが、企業のM&Aが活発です。

下の図は、M&A仲介の大手、日本M&Aセンターの先月9月の中間決算で発表された資料です。
↓  ↓  ↓  ↓
M&A増加


 成約数は四半期・半期ともに過去最多で、前年同期比136%の増加となっています。

この成約内容は、会社規模はわかりませんが、恐らく今後も同じ傾向で動くと思われます。


 今や経営者の多くが70歳近い年齢となり、みなさん真剣に今後の出口戦略を検討すべき時期に入ってきました。

上記でご紹介したガイドラインにも、出口に向けた取り組み方がいくつも載っていますので、一度ご覧になってみて下さい。

弊社は、中小企業者の経営をサポートする支援機関として中小企業庁からの認定を受けていますので、

ぜひ相談相手としてご活用下さい!


◆経営者年齢の分布図◆
↓  ↓  ↓
経営者年齢分布
(出所:中小企業庁『2017年版中小企業白書』)

 【担当:橘】

Ⅵ 医療法人の事業承継

医療法人の事業承継


1.医療産業の構造増変化

 医療設備は医療機器の進化に伴い複雑かつ高額になってきた。一般の開業医でも新規に開業しようとすれば相当の初期投資を要する時代になった。特に病院医療はレセコンの導入で保険請求事務がデータ送信となり、検査機器、デジタルレントゲン、エコー、パックス、CT、MRI、内視鏡手術機器、ダビンチ等々高額の新鋭機器が導入される装置産業と化してきた。

 一方で患者サイドの医療リテラシーも向上し、自分の病気に関する知識、情報も格段に上がってきたため、患者側も新鋭の医療機器を揃えている医療機関への紹介を強く望み、それを導入していない医療機関にはいかないという傾向も見られる。かって、CT、MRIのない病院なんて遅れているのでは!という風潮が一時期あったし、最近ではダビンチの導入を遅らしたため医療水準は高いにもかかわらず、手術件数が減少したということも起きている。

 一方、日本の人口構造の変化が医師の充足にも影響を及ぼしている。昭和22年生~昭和25年生の団塊の世代とその周辺の年齢層が大量に退職時期を迎え、開業医の分野ではまだまだ現役で活躍している医師もいるので若干のタイムラグはあるものの、特に中小病院での中堅医師の採用は非常に困難になっている。


2.医療法人のM&A

 売り手となる医療機関の体質が大切な問題となる。買い手としては買収後円滑に運営していけるのかというのが最大の関心事である。院長、理事長の技量、経営手腕が非常に大きく貢献しており、代表者が交代して後継医師が承継した場合患者が付いてこない事態が想定されるようだと買い手としては見送らざるを得ない。高収益優良病院の収益構造がどのようになっているかを分析しておく必要がある。M&Aでの事業承継を考えるのであれば、数年前から病院の組織、人事を重視して人材の確保に力を入れ、院長が抜けても病院として十分な医療サービスが提供できるような体制を構築しておく必要がある。とくに最近は医師、看護師等の人材を集めにくい時代になってきているのでハード面の充実だけでなく、優れた人材で組織されたスタッフの充実した病院の方が高い評価が得られる。

  あとは一般のM&Aと同様で、不要不急の不動産を処分する。不良在庫を持たない、不良債権、不良債務を整理してスリムなB/Sとしておくおことである。

 M&Aの手法としては殆どが出資持ち分の譲渡によって行われるのが実務である。


3.一人医師医療法人のM&A

 一人医師医療法人のM&Aにおいては、買い手が医療法人か、個人医師かによってスキームが異なってくる。医療法人による買収であれば、営業権の償却が可能であるから、次のような一般的な算式で買収価額の叩き台を提示することができる。

  譲渡価額=時価純資産価額+営業利益の3年~5年分


  理事長の退職金と不要資産の調整で純資産を減らし、買収額を抑える、買い手側にとって営業権が何年で償却できるかもM&Aの重要なポイントである。商権である患者がどれだけ新院長に付いてくるか工夫を要するところである。新規開業して採算ラインの来患数に達するまで何年かかるか、その間の持ち出しと、一方で若干の患者離れがあったとしても、買収後初年度から利益が出るとしたら営業権の対価を支払ったとしても、時間を買うことができれば成功である。

 承継する看護師、医療スタッフの退職金のことも考慮しておく必要がある。採用時に退職金制度無しで雇用している場合は問題ない。また、引き継ぐ従業員の教育練度、質も重要なポイントとなる。

 一人医師医療法人の買い手が個人医師である場合は営業権の償却ができないのでスキームに工夫を要する。営業権を支払うのは、買い主であるから、買収対象となった医療法人のB/Sに資産計上することはできないのである。また、理事長の退職金で赤字をつくって純資産を圧縮して買いやすくするという方法もある。

 個人医師が買い取る場合のスキームは特にこの点に工夫を要する。長年勤務してきた看護師等の退職金の引き継ぎ処理も問題となる。

 院長交代を期に患者が極力散らないように工夫することも重要なポイントである。

富士山・冬

名義株の整理が会社を強くする!

 他人の名義を借りて株式の払い込みがされた株式のことを名義株といいます。

 平成2年以前の商法では、株式会社を設立するときの発起人の最低人数が7名とされていました。そのため、創業者だけでは人数が足りず、親族・従業員などの名前を借りることが一般的に行われていました。

 その結果、歴史の長い会社では創業者が資金を払い込んだにもかかわらず、株式名義は親族・従業員などであるという「名義株」の残っていることがあります。

 このような名義株が残っていると

①事業承継やM&A等を実行しようとした際に名義貸人が株主としての権利を主張し、真正な株主の意思決定が実行できなくなる。

②名義貸人が死亡した後、その相続人が株主としての権利を主張したため、株式の買い取り請求を受けて突然の資金流出が生じる。

等のリスクを潜在的に抱えることになります。

 但し、名義株の問題については、昭和42年11月17日最高裁判決によって実質的に資金の払込みをした者が真の所有者であると結論付けました。
 そして、税務署も法人税法基本通達において「単なる名義人であって当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者を株主等とする」として、実質的な株主を真正な株主と規定しています。

 よって、「名義株のリスク」を必要以上に深刻に捉えてはいけませんが、潜在リスクをなくすためには事前に整理することがベストです。

 そのためにまずすべきことは、会社の株主名簿、もしくは、法人税申告書別表2「同族会社の判定に関する明細書」にて、名義株があるかどうかの確認が必要です。
 
 そして、名義株があった際は処理方法を検討していきます。

 まず、資金流出を伴わない方法としては、名義人と真正な株主とで「名義貸与承諾書」等を作成し、本来の株主が誰であるかを互いに確認しておく方法があります。

 そして、この書面には名義人からの自署・捺印を徴し、その後公証人役場で確定日付を押してもらうようにします。
さらに、書面への捺印は実印で行い、印鑑証明書を添付して保管しておけば万全です。

 上記の方法が取れない場合は、資金流出を伴いますが「株式贈与契約書」や「株式売買契約書」等を作成し名義人から株式買取りを実施する方法もあります。

 なお、これらの処理とあわせて本来の株主に対する配当の実施も検討します。

通常、剰余金の配当に対して何らの要求がないのは名義株式であることの証明ともいえますので、誰が真の所有者かを実質的に判断する根拠を形成することができます。
 その際には配当の受取人が確定申告書を提出することも忘れずに行って下さい。

 名義株の問題は先延ばしにすればするほど、先々の事業承継や相続でトラブルを引き起こすリスクが大きくなります。また、認知症等で当事者能力に欠ける事態も今の時代は十分想定できます。
 名義貸与の当事者がしっかりしている間に話し合って解決を図っていくことが重要です。問題が顕在化する前に名義株の処理をすることが会社を強くするポイントです。

Ⅳ 自社株引下げ対策事例

自社株引下げ対策事例

 自社株を取り巻く環境分析が出来たら、自社株のどこが問題か見えてきます。業績のいい中小・中堅会社の多くは中会社の中か大会社です。優良会社で問題になるのは、高株価故に相続税が払えるかという心配です。ではなぜ、高株価になるかその仕組みから見ていきましょう。

 前号で類似業種比準価額と純資産価額の組み合わせで株価が決まること、更に会社規模が大きくなるほど類似業種比準価額の占めるウエイトが大きくなることを説明しました。再度ここにその算式を掲げます。

原則評価


 これを見てわかるように、類似業種比準価額は年配当額、年利益額、簿価純資産の三要素で比準することになっており、なかでも年利益額が3倍に加重されています。ここから株価を下げる対策のポイントが見えてきます。


【類似業種比準価額方式】

1.年配当額対策 
 毎期の配当額はできるだけ抑え、会社の記念配当をする時に集中的に出すようにします。記念配当は類似業種比準価額算定の際は除かれることになっているからです。中小企業では配当率ではなく配当額で配当を決めます。一株当たりの配当額が高くなっており上場会社と比準したときに株価を押し上げていることがありますから要注意です。

2.年利益額対策
  年利益額を一時的に抑えることができれば、株価の引き下げに大きく影響します。これは株式移譲の計画と併せて考える必要があります。事業承継に時間的余裕がある会社ではリーマンショック時のように業績が大きく悪化し株価が下がったチャンスに株式の移譲を考えるのもいいでしょう。
  利益引き下げの対策としては以下のような方法が考えられますが、決算期、株式移譲のタイミングと併せて1~2期で集中的にやる方が効果的です。

含み損を抱えている土地を思いきって処分する
⇒キャッシュフローの改善にも貢献し、財務体質の強化にもなります。

不良在庫、不良債権の償却。B/Sのスリム化を図る

損金性の高い生命保険を活用して課税の繰り延べをする
⇒損金算入をしながら役員退職金の原資を貯めることもできます。

高収益部門を後継者の会社に営業譲渡、本体会社の株価高騰を抑制
⇒残った本体会社の業種を変えることで株価を下げることもできます。

役員退職金を支給して利益を抑える
⇒役員退職の時期、役員退職金規定の整備、退職後の会社の資金繰り、他の相続対策とも併せて総合的に検討する必要があります。

役員報酬の増額
⇒会社の内部留保の充実を優先して役員報酬を抑えているケースがありますが、役員退職金を視野に入れる時期が近づいてくると適正報酬を取っておかないと、過大退職金と認定される懸念が生じてきます。

レバレッジドリースを活用して利益を抑える
⇒この方法は効果がある一方、多額の資金が長期にわたって拘束される、外貨建ての場合は為替リスクを考える必要がある等のデメリットもありますから慎重に取り組むべきでしょう。

3.簿価純資産額対策
 中小・中堅会社のなかには、地方税の均等割を意識して過小資本の会社が見受けられます。この場合、内部留保が充実した会社では、その比準値も高くなってしまいます。含み損を抱えた土地の売却、不良債権、不良在庫の償却等を通じて内部留保もスリム化した後、新株の発行増資を行い役員、従業員に放出することでオーナーの持ち株割合を下げる対策も効果的でしょう。なお、この場合、中堅規模で会社の財務内容を開示できる環境が整っていることが前提条件となります。
 類似業種比準価額は上場会社の株価と比準するわけですから、分類される業種や株価水準にも大きく影響されます。2008年9月15日のリーマンショック以来、2008年の年末から2009年の年初にかけて日経平均株価は8,000円割れし、2012年12月、安倍内閣が金融緩和を打ち出す前後から10,000円を越え、2015年5月に1ドル124円台の円安の後20,841までいき、現在17,374円(11/11)で推移しています。このように上場株価は7~8年で大きく推移していますから事業承継を長期的に考えることができるケースでは、上場会社の株価水準の低いときに対策を打つことも大切でしょう。

【純資産価額方式】

 貸借対照表の資産総額から負債総額を差し引いた価額を純資産とします。その際「資産」は相続税の評価額によることとされていますから平成2年のバブル崩壊より相当以前から土地、借地権及び有価証券を所有している会社では含み益が出る場合があります。逆に土地の値下がり等で含み損を抱えている場合は、損切りすることで株価を下げることも可能です。
 土地は借入の際の担保に必要と、こだわっている会社もありますが、最近では会社の信用度はスコアリングで評価します。定性評価と定量評価があります。定量評価では収益力、安全性、返済能力等で評価しますが、最もウエイトが大きいのは返済能力です。簡単にいえば営業利益プラス減価償却費で借入金を何年で返せるか、ここを重視します。株価対策も大切ですが、対策後はスコアリングで高い評価が得られるようにしていくことがより大切です。
       
4.株価引き下げ後の株式移譲
 株価引き下げ後は株式を後継者・相続人に移譲することで先代の持ち分を減らします。株価対策を行った株式の相続税評価額は時価より低くなるケースが多いので株式の移譲は基本的に贈与で行います。譲渡では先代の保有する株式が現預金に変わるだけで相続財産は減りません。相続人は贈与税を用意する必要がありますが、一時的に会社から借り入れ、後日、贈与を受けた株式の一部を会社に譲渡して返済します。この場合、本体会社に売却すると取得価額と譲渡価額の差額がみなし配当所得となりますので、グループ会社がある場合は、発行会社以外の会社へ売却します。
 相続まで時間があり、業績が安定した高収益会社の場合は、毎年の留保利益が積み上がり10年後の株価が倍になるようなケースもあります。このようなケースでは相続時精算課税制度を使って思い切って株式の移譲を実行します。2,500万円までは非課税ですし、これを超える額に対しては20%の贈与税ですみます。但し相続時に持ち戻し計算をして精算しますので、メリットは相続時までの株価の値上がり益に対する相続税相当額が節税になるという点に終始します。払った贈与税は相続税の前払いとして差し引かれます。後継者が実質的に事業を承継して経営に従事しているような場合、後継者の経営努力で留保した利益が相続財産として課税されるといった事態は避けられます。株価が将来値下がりした場合は逆に不利に働きます。このスキームは会社の実態をよく分析した上でリスク分散も考慮して実行すべきでしょう。

 経済環境の激変でビジネスモデルの変更を余儀なくされるケースもあります。後継者が力をつけ、先代は健康だが交代してもいいと考えられるときは、生前に退職金を取って非常勤取締役として後継者を支援することもできます。この場合も株価が下げられるチャンスです。会社は退職金で一時的に大きな損金を生じることになりますが、時間をかけて周到な準備をしておくべきでしょう。

①役員退職金規程の整備
②生命保険あるいは内部留保による退職金原資の準備
③退職後の組織体制の確立
等々です。

株価が下がった後の対応は上記と同様です。

立冬
11月7日は立冬
秋暮れて厳しい季節がやってきます

Ⅲ 自社株対策の必要性

自社株対策の必要性

事業承継とは経営権の承継と財産権の承継であることは先に述べたとおりです。このことを具体的に検討するに当たって先ず自社株を取り巻く環境がどのようになっているか把握しておく必要があります。


1.株主構成の確認と株主名簿 
 株主構成の内容次第で株価評価の方式も異なってきますし、その後の対策も変わってきます。同族株主だけなのか、同族色の薄い会社か、持株会の有無等、株主名簿によって確認していきます。

株主名簿の記載事項は
①株主の氏名・名称及び住所
②当該株主の保有株式数・種類
③当該株主の株式取得日
④株券発行会社の場合は当該株式にかかる株券の番号
です。

株主名簿は書面の形式でなく電磁的記録の形式でも良いこととなっています。株主名簿を法人税申告書別表二で代用している会社もありますが、法人税申告書別表二とは目的と記載内容も異なりますすし、名義株の判定等大事な局面では重要な疎明資料となりますので、株主名簿は会社備付け書類として作成しておく必要があります。


2.定款の整備
 定款は会社の憲法にあたるものです。先ず定款が平成18年5月に施行された会社法に沿って整備されているかチェックしてください。社歴の長い会社の中には旧商法時代につくられた定款がそのまま引き継がれているところもあります。

定款に必ず記載しなければならない絶対的記載事項は
①会社の目的
②商号
③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
⑤発起人の氏名・名称及び住所
⑥発行可能株式総数
です。

株券発行会社となっているのに、株券が発行されてないこともあります。同族会社であれば、株式の譲渡制限が付されているか。種類株が発行されているか等もわかります。


3.名義株への対策
 株主名簿をみて名義株の可能性がある場合は、早急に先代なり、昔の事情を知っている関係者に確認してください。平成2年の商法改正で設立発起人が不要となりましたから、改正商法後に設立された会社では少ないと思いますが。それ以前に設立された社歴の長い会社では設立発起人として名義を借りた株主がそのままになっているケースもあります。
別表二を株主名簿と受け止めた後継者が先代の相続開始後、別表二の状態で相続税の申告をして相続税の調査を受けた際に名義株の申告漏れを指摘された事例もあります。

税務署による名義株調査のポイントは以下の通りです。
・配当金の支払い状況、一部だけ現金払いとなってないか。受け取った配当所得は申告されているか。
・名義借りの経緯とその合理性の確認
・株主総会招集通知が出され、株主総会が実際に開かれているか。欠席の場合委任状の提出があるか。
・株主総会議事録は適法に作成され、署名捺印がなされているか。
・株式の異動があった場合、贈与契約書、株式譲渡契約書は作成されているか
・株主の異動に際し取締役会の承認手続きを経て株主名簿の書き換えが行われているか

 名義株の対策としては、「名義貸与承諾証明書」や「名義株式確認書」を作成してトラブルを防ぐ必要があります。名義貸与の当事者が生存している場合は対策も取りやすいのすが、当事者が死亡している場合は面倒なこととなります。


4.分散株式への対応
 相続税対策として、会社の株式を親族や取引先に保有してもらったケースがあります。この場合、渡すときは特例評価の配当還元価額で良かったのですが、株主が代替わりして買い取り請求をされると時価評価が原則となります。最近はこの分散株式の買い集めの相談が増えてきました。株式分散時にスキーム出口としての株式の収斂の仕方を考えておかねばいけません。
従業員持株会を組成して社員の退職時に配当還元価額で買い戻すことで循環させるとか、相続で分散しないように取得項付株式(種類株式)を導入してあらかじめ一定の条件下で買い戻せるようにしておく必要があります。投資育成会社に保有してもらって分散している会社もありますが、出口としての買戻し価額が時価になることを明確に認識してなくて買戻価額でトラブルとなっている会社もあります。
 譲渡制限株式にしているから大丈夫と考えている会社もありますが、これは株式譲渡に取締役会の承認を要するということであって、株式の譲渡そのものができないわけではありません。会社が承認しない場合には、他の者、または当該会社に買い取りを請求できます。こうなるとその買取価額は買取請求者と当該会社が協議して決めることとなり、交渉がまとまらず、訴訟となれば、必ずしも税法上の時価で買い取れるとは限りません。概ね高い価額で決着というケースが多いようですからあらかじめ備えが必要です。


5.自社株式評価方法の確認
 自社株の状況が把握できたところで、自社株が相続税法上どのように評価されるのか知っておく必要があります。

『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』 

何事も先ず事実を正確に認識することが大切です。 ここでは未上場株式評価の概要を紹介します。詳しく知りたい方は国税庁のホームぺージ「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」をご参照下さい。

原則的評価方式
・純資産価額方式-会社の資産価額から負債価額を控除した純資産を自社株の価額とします。
基本的に清算価値の考え方ですから含み益に対する法人税相当額(37%)を控除します。
・類似業種比準価額方式-自社の一株当たりの配当・利益・純資産の3要素を類似業種の上場会社の株価に比準して自社株を評価する方法です。
ここで注意すべきは利益の要素が他の2要素と違い3倍に加重されているということです。
会社規模の判定は、評価会社の①従業員数②総資産価額(簿価)③取引金額(売上高)、により判定し・・・

大会社
中会社
小会社

に区分します。

原則評価



少数株主に適用される特例的評価方式
・配当還元方式-配当金額を、一定の利率(10%)で還元して株式の価額を評価する方法です。
一株当たり資本金が5万円の会社の場合、1割配当であれば株価は5万円、2割配当なら10万円、5分配当であれば2.5万円となります。
年配当額が2円50銭未満の場合、または無配の場合は2円50銭とします。
配当還元


会社規模に応じた純資産価額と類似業種比準価額との組み合わせ割合
これをLの割合といいます。小会社、中会社(中会社の小、中会社の中、中会社
の大、)大会社に区分され類似業種比準価額を取り込む割合が違ってきます。規模が大きくなるほど類似業種比準価額の割合が大きくなり、一般的に類似業種比準価額の方が、株価が低くなるケースが多く見みられますが、純資産価額の方が低くなるケースもありますので、株価は個別に評価してみる必要があります。評価方法の詳細は、「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」で見ることができます。
                            

次回から自社株引き下げ対策の事例を紹介していきます。
事例には一定の前提条件があり、自社には当てはまらないこともあります。それは病気の治療と同様です。
対策は未来を想定して行いますが、予測に期待や希望を介在させると判断を誤ります。

秋

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税理士法人 はやぶさ

Author:税理士法人 はやぶさ
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