バトンの受け方、渡し方(前半)

これまでは、バトンを渡す側からのご相談やサポートを多く受けてきましたが、バトンを受ける側(後継者候補)の方々から「相続や事業承継」についてレクチャーの依頼を頂きました。光栄にも6月と7月の二回、製造業の若手経営幹部の定例会にお招きいただき、お話をさせていただきました。
以下、私自身の頭の再整理を兼ねつつ、お聞きになられた方々の事業承継の一助となれば幸いです。

事業承継が理屈通りに進まないという実態を第1回目でお話ししました。現場で仕事を終えた後にもかかわらず、みな真剣に私の話を聞いておられたのが印象的でした。この時の質疑応答はかなりシリアスなものもあり、私自身も大変多くの気づきを頂きました。
第2回目は相続税や贈与税の仕組みから事業承継税制までを一気にお話をさせていただきました。現経営者と後継者が計画性をもって、意思疎通を図りながら取り組むことで、税制や時間を味方に付けることができます。初めてお聞きなる方には、税の話は少し難しかったかもしれませんが、事業承継で用いられる典型的なタックスプランニングのお話をさせていただきました。中長期に取り組むことで、税金の問題はある程度解決できる点が、感覚的にご理解頂ければ充分かと思います。

確かに、節税の観点から税理士など専門家との連携を通じて中長期的に対策を講じることは大切ですが、税以外、経営や争族回避の観点からも、私は中長期の対策が必要であろうと考えています。計画とその進捗管理を通じて、さまざまな想定外(悪い意味での)は、極力避けられるのではないかと思います。

なぜ、計画や進捗管理が必要なのでしょうか?
現経営者と後継者双方は、将来バトンを渡す、受ける関係だけでなく、現時点では上司部下(師匠と弟子?)の関係にあり、バトンの受け渡しに関係なく親子関係が続きます。継続的なコミュニケーションがとても重要になることは理解できると思います。ご自身の頭の中は、誰にも見えません、本人にも・・・だから予め双方が、ある程度、文章や図表で見えるようにし、共有しておくことが大切です。時の経過とともに、一方の気まぐれ、わがまま、感情によって、行動にブレが出るかもしれません。それぞれが真剣であるが故、諍い(いさかかい)が生じてしまうかもしれません。
双方が計画を見せ合いながら定期的に話し合うことで、最悪の事態は避けられるでしょう。事業承継においても、効果的なコミュニケーションの手段として計画を活用されてはいかがでしょうか。

節税はあくまでも事業承継のための手段にすぎません。
事業承継を意識される経営者様、後継者様へは、計画を通じて双方の目標や役割を明確にし、各々がやるべきことを着実に取り組んでいく仕組みづくりをお勧めいたします。

次回、特例事業承継計画について触れたいと思います。

社員税理士 福岡 裕次

必要条件と十分条件

相続対策・事業承継対策に取り組むにあたって、どうしたら成功したといえるかと考えることがある。先ずは襷を渡す側と襷を受け取る側の双方にとって満足のいく結果が得られることが大切である。そうでなければ成功したとは言えないであろう。

そのためには、襷を渡す側(先代)が何を望み、襷を受け取る側(後継者)が何を望んでいるかを十分に聞き取る必要がある。『はやぶさ』が支援できるのはそのためのスキームの立案であり、スキームの実行支援ということになるのであるが、そこで気になることがある。

襷を渡す側は、様々な経験を積み、苦労を重ねて事業を立ち上げ、財をなした方達であるので深い読みのもとで創業家の将来と後継者達の行く末を真剣に考えていることが多い。一方で、襷を受け取る側についてはしっかりした見識をお持ちの方もいるが、これだけの経営責任と財を任されて大丈夫だろうかと気になることもある。

相談を受けるのは、承継のコストをいかに抑えるかという話が中心になるのであるが、大切なことは襷を受ける側の経営力、財産管理能力をいかにして強化するかというところにある。『大事にするものは集まる』というのが経済の法則である。管理能力を超えた財を手にした者がどのような運命をたどるかは、宝くじが当たった人が人生を狂わせたという話からも察しがつくであろう。

必要条件と十分条件の両方が満たされたときに相続対策・事業承継対策は本当に成功したと言える。対策に取り組むに当たって、出口のしっかりした入口から入るということが大切である。それが狭き門であったとしても。

事業承継ガイドライン

 2週続けての台風到来。身近での被害はありませんでしたでしょうか。

弊社事務所の最寄では街路樹が幹から折れ曲がって道路に横たわっているものが何本かありました。

ものすごい風雨でしたが、子供は暴風雨になるとテンションが上がるのはなぜでしょうか?

それとも我が家だけでしょうか。。。

と、あまり「掴み」にもならない枕はこれぐらいにし、本題です。

 今回は中小企業庁が出している「事業承継20問20答」という冊子をご紹介したいと思います。

事業承継ガイドライン表紙

事業承継ガイドライン(リンク先へ)


 この冊子の良いところは、経営者の方がご自身で自社の株価を計算できる点です。

簡易なものとなっていますが、現状の自社の価値を知る目安となりますので、ぜひ活用してみてください!


 ところで、ここ数年の傾向ですが、企業のM&Aが活発です。

下の図は、M&A仲介の大手、日本M&Aセンターの先月9月の中間決算で発表された資料です。
↓  ↓  ↓  ↓
M&A増加


 成約数は四半期・半期ともに過去最多で、前年同期比136%の増加となっています。

この成約内容は、会社規模はわかりませんが、恐らく今後も同じ傾向で動くと思われます。


 今や経営者の多くが70歳近い年齢となり、みなさん真剣に今後の出口戦略を検討すべき時期に入ってきました。

上記でご紹介したガイドラインにも、出口に向けた取り組み方がいくつも載っていますので、一度ご覧になってみて下さい。

弊社は、中小企業者の経営をサポートする支援機関として中小企業庁からの認定を受けていますので、

ぜひ相談相手としてご活用下さい!


◆経営者年齢の分布図◆
↓  ↓  ↓
経営者年齢分布
(出所:中小企業庁『2017年版中小企業白書』)

 【担当:橘】

Ⅵ 医療法人の事業承継

医療法人の事業承継


1.医療産業の構造増変化

 医療設備は医療機器の進化に伴い複雑かつ高額になってきた。一般の開業医でも新規に開業しようとすれば相当の初期投資を要する時代になった。特に病院医療はレセコンの導入で保険請求事務がデータ送信となり、検査機器、デジタルレントゲン、エコー、パックス、CT、MRI、内視鏡手術機器、ダビンチ等々高額の新鋭機器が導入される装置産業と化してきた。

 一方で患者サイドの医療リテラシーも向上し、自分の病気に関する知識、情報も格段に上がってきたため、患者側も新鋭の医療機器を揃えている医療機関への紹介を強く望み、それを導入していない医療機関にはいかないという傾向も見られる。かって、CT、MRIのない病院なんて遅れているのでは!という風潮が一時期あったし、最近ではダビンチの導入を遅らしたため医療水準は高いにもかかわらず、手術件数が減少したということも起きている。

 一方、日本の人口構造の変化が医師の充足にも影響を及ぼしている。昭和22年生~昭和25年生の団塊の世代とその周辺の年齢層が大量に退職時期を迎え、開業医の分野ではまだまだ現役で活躍している医師もいるので若干のタイムラグはあるものの、特に中小病院での中堅医師の採用は非常に困難になっている。


2.医療法人のM&A

 売り手となる医療機関の体質が大切な問題となる。買い手としては買収後円滑に運営していけるのかというのが最大の関心事である。院長、理事長の技量、経営手腕が非常に大きく貢献しており、代表者が交代して後継医師が承継した場合患者が付いてこない事態が想定されるようだと買い手としては見送らざるを得ない。高収益優良病院の収益構造がどのようになっているかを分析しておく必要がある。M&Aでの事業承継を考えるのであれば、数年前から病院の組織、人事を重視して人材の確保に力を入れ、院長が抜けても病院として十分な医療サービスが提供できるような体制を構築しておく必要がある。とくに最近は医師、看護師等の人材を集めにくい時代になってきているのでハード面の充実だけでなく、優れた人材で組織されたスタッフの充実した病院の方が高い評価が得られる。

  あとは一般のM&Aと同様で、不要不急の不動産を処分する。不良在庫を持たない、不良債権、不良債務を整理してスリムなB/Sとしておくおことである。

 M&Aの手法としては殆どが出資持ち分の譲渡によって行われるのが実務である。


3.一人医師医療法人のM&A

 一人医師医療法人のM&Aにおいては、買い手が医療法人か、個人医師かによってスキームが異なってくる。医療法人による買収であれば、営業権の償却が可能であるから、次のような一般的な算式で買収価額の叩き台を提示することができる。

  譲渡価額=時価純資産価額+営業利益の3年~5年分


  理事長の退職金と不要資産の調整で純資産を減らし、買収額を抑える、買い手側にとって営業権が何年で償却できるかもM&Aの重要なポイントである。商権である患者がどれだけ新院長に付いてくるか工夫を要するところである。新規開業して採算ラインの来患数に達するまで何年かかるか、その間の持ち出しと、一方で若干の患者離れがあったとしても、買収後初年度から利益が出るとしたら営業権の対価を支払ったとしても、時間を買うことができれば成功である。

 承継する看護師、医療スタッフの退職金のことも考慮しておく必要がある。採用時に退職金制度無しで雇用している場合は問題ない。また、引き継ぐ従業員の教育練度、質も重要なポイントとなる。

 一人医師医療法人の買い手が個人医師である場合は営業権の償却ができないのでスキームに工夫を要する。営業権を支払うのは、買い主であるから、買収対象となった医療法人のB/Sに資産計上することはできないのである。また、理事長の退職金で赤字をつくって純資産を圧縮して買いやすくするという方法もある。

 個人医師が買い取る場合のスキームは特にこの点に工夫を要する。長年勤務してきた看護師等の退職金の引き継ぎ処理も問題となる。

 院長交代を期に患者が極力散らないように工夫することも重要なポイントである。

富士山・冬

名義株の整理が会社を強くする!

 他人の名義を借りて株式の払い込みがされた株式のことを名義株といいます。

 平成2年以前の商法では、株式会社を設立するときの発起人の最低人数が7名とされていました。そのため、創業者だけでは人数が足りず、親族・従業員などの名前を借りることが一般的に行われていました。

 その結果、歴史の長い会社では創業者が資金を払い込んだにもかかわらず、株式名義は親族・従業員などであるという「名義株」の残っていることがあります。

 このような名義株が残っていると

①事業承継やM&A等を実行しようとした際に名義貸人が株主としての権利を主張し、真正な株主の意思決定が実行できなくなる。

②名義貸人が死亡した後、その相続人が株主としての権利を主張したため、株式の買い取り請求を受けて突然の資金流出が生じる。

等のリスクを潜在的に抱えることになります。

 但し、名義株の問題については、昭和42年11月17日最高裁判決によって実質的に資金の払込みをした者が真の所有者であると結論付けました。
 そして、税務署も法人税法基本通達において「単なる名義人であって当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者を株主等とする」として、実質的な株主を真正な株主と規定しています。

 よって、「名義株のリスク」を必要以上に深刻に捉えてはいけませんが、潜在リスクをなくすためには事前に整理することがベストです。

 そのためにまずすべきことは、会社の株主名簿、もしくは、法人税申告書別表2「同族会社の判定に関する明細書」にて、名義株があるかどうかの確認が必要です。
 
 そして、名義株があった際は処理方法を検討していきます。

 まず、資金流出を伴わない方法としては、名義人と真正な株主とで「名義貸与承諾書」等を作成し、本来の株主が誰であるかを互いに確認しておく方法があります。

 そして、この書面には名義人からの自署・捺印を徴し、その後公証人役場で確定日付を押してもらうようにします。
さらに、書面への捺印は実印で行い、印鑑証明書を添付して保管しておけば万全です。

 上記の方法が取れない場合は、資金流出を伴いますが「株式贈与契約書」や「株式売買契約書」等を作成し名義人から株式買取りを実施する方法もあります。

 なお、これらの処理とあわせて本来の株主に対する配当の実施も検討します。

通常、剰余金の配当に対して何らの要求がないのは名義株式であることの証明ともいえますので、誰が真の所有者かを実質的に判断する根拠を形成することができます。
 その際には配当の受取人が確定申告書を提出することも忘れずに行って下さい。

 名義株の問題は先延ばしにすればするほど、先々の事業承継や相続でトラブルを引き起こすリスクが大きくなります。また、認知症等で当事者能力に欠ける事態も今の時代は十分想定できます。
 名義貸与の当事者がしっかりしている間に話し合って解決を図っていくことが重要です。問題が顕在化する前に名義株の処理をすることが会社を強くするポイントです。
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税理士法人 はやぶさ

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